こに歯学|歯科の記事

エクストゥルージョン(歯の挺出)

2017年3月9日

むし歯などで歯肉が歯を覆ってしまったときに、歯を歯肉の上に引っ張り出す処置をエクストゥル―ジョン(歯の挺出)といいます.

エクストゥル―ジョンには外科的挺出と矯正的挺出があります.

外科的エクストゥルージョン

外科的な挺出は一旦歯を抜いて、もう一度その歯の向きを変えて抜歯窩に戻す処置です.

外科的挺出は何年かすると歯根が外部吸収を引き起こすなどのトラブルもあり、経年的にみると成功率はそれほど高くありません.

 

矯正的エクストゥルージョン

矯正的な挺出はゴムやワイヤーの弾性を利用して歯を引っぱり出す処置です.

治療期間が長くかかるうえに、基本的には単根歯(根が一本だけの歯)にしか適用できません.

しかも引っ張り出した後に歯肉線維を切断するなどの外科処置や骨を削り取って骨縁を整える必要が出てくる場合もあります.

時間経過とともに、矯正的に引っ張り出した歯が元にもどってしまうなどのトラブルもあります.

大がかりなことをするわりに、得られるものが少ないというのが私の考えです.

 

歯の寿命を縮めてしまう危険性もある

エクストゥル―ジョンは抜かなくてはいけないような歯を保存するための処置ではありません.

冠やブリッジがはずれないようにする補綴物を持たせるための処置です.

エクストゥルージョンをしたからといって、歯根膜の支持量が増えるわけでも、失われた歯質が回復するわけではありません.

つまり、これらの処置にその歯を長持ちさせる効果があるわけではないのです.

外科的エクストゥルージョンは歯根膜を汚染させますし、矯正的エクストゥルージョンは歯に無用の力を加えたり、歯根膜や歯槽骨に侵襲を加えるので、かえって歯の寿命を縮めてしまうことになります.

エクストゥルージョンなどの処置ができるような歯であれば、歯槽骨や歯質はある程度残っているわけで、無理に外科処置や矯正処置をしなくても、通常の歯科治療を丁寧に行えば十分保存できます.

補綴物のために簡単に抜歯してしまうのは論外ですが、補綴物のために痛みや歯周組織への傷害を強いる外科処置や矯正処置をするのも考えものだと思います.

 

 

 

 

 

 

 

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