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歯周組織再生療法・GTR法

投稿日:2017年6月4日 更新日:


歯周組織再生療法は、歯周病が進行して破壊されてしまった歯周組織を再生したいということで開発された治療法です.

再生療法には大きく分けて、GTR法とエムドゲイン法の二つがありますが、このページではGTR法について解説します.

 

GTR(guided tissue regeneration)法

歯周病学サイドリーダー、学建書院、下島孝裕から引用

歯周炎の進行は歯と歯肉が付着している部分が破壊され歯周ポケットが形成されることではじまります.

歯周ポケットが形成されるとその部分に骨を再生させるのは難しくなるので、メンブレンとよばれる特殊な膜を歯肉を剥離して埋め込み、歯肉上皮の増殖をおさえ、セメント質や歯槽骨の再生を促そうというのがGTR(guided tissue regeneration)法です.

GTR法は再生療法として一時脚光を浴びましたが、その適応症が限られていることから、歯周病の処置としてはそれほど行われなくなってしまいました.

麻酔をして歯肉を剥離してメンブレンを埋め込むという侵襲の大きい処置の割には、ごく軽度の骨吸収しか対応できないので、あまり行われなくなってしまったと考えられます.

 

GTR法の適応症

適応症が限られているGTR法ですが、具体的にはどの程度の状態のものが適応だと考えられているのでしょうか.

米国歯周病学会が発表しているGTR法の適応症は以下のようになっています.

① 垂直性骨欠損(三壁性骨欠損)
② 下顎臼歯部および上顎臼歯部の頼側からの2度の分岐部病変

 

垂直性骨吸収

 

歯周病学サイドリーダー、学建書院、下島孝裕

①の”垂直性骨欠損”というのは歯槽骨が一部分だけなくなってしまった状態です.

垂直性骨欠損のなかでも歯に接する面の骨だけが吸収しているもの(三壁性骨欠損)が一番の適応症と考えられています.つまり、歯の周りのほんのごく一部の骨しか溶けていない場合は有効だということになります.

“垂直性骨欠損”に対する用語は“水平性の骨欠損”で、GTR法ではこのタイプの骨の再生はできません.

 

2度分岐部病変

歯周病学サイドリーダー、学建書院、下島孝裕

分岐部病変というのは複根歯(根が2本以上ある歯)の根と根の間(分岐部といいます)の歯槽骨が溶けているものをいいます.

進行程度によって、1度から3度に分類されます.

1度の分岐部病変は歯槽骨の吸収が分岐部の1/3以下のもの

2度の分岐部病変は1/3以上だが、すべて喪失しているわけではないもの

3度がプローブが貫通してしまうもの

②の”2度分岐部病変”というのは、複根歯の根と根の間(分岐部といいます)に歯槽骨は存在しているが、水平的な歯周ポケットがわずかに存在している状態です.

これも微々たる骨の吸収しか認められない歯周炎です.

この状態はほとんど自覚がなく、歯科医がプローブを挿入することではじめて確認できるものです.

2級の分岐部病変があるからといって、それがどんどん進行してしまうわけではありません.

ブラッシングを丁寧にしておけば、それほど心配のない状態です.

わざわざ痛い思いをして、GTR法を行う必要はまったくないと私は思います.

 

GTR法の効果がないもの

GTR法が効果がないものとしては

①上顎における近遠心からの分岐部病変,

②上下顎とも3級の分岐部病変

をあげています.

 

3級の根分岐部病変

”3級の根分岐部病変”というのは、プローブ(歯周ポケットを検査する器具)を挿入すると貫通はするが、周囲が歯肉で覆われている状態です.

臨床では、ここからが問題となる歯周病なのですが、残念ながらこのような状態の歯にはGTR法は効果がないわけです.

 

GTR法は必要ない

以上がアメリカ歯周病学会のGTR法に対する考え方です.

文章を読んだだけでは難しくてよく分からないのですが、簡単にいえばGTRの効果がでるのはごく軽度の歯周炎で、患者さんに歯周炎という自覚さえない症例がほとんどです.

そのような症例に診療費を払ってまで、わざわざ痛い思いをする必要はないと思います.

この程度の骨吸収であれば、わざわざGTR法をしなくても、片山式ブラッシングだけで十分回復することができます.

 

 

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