こに歯学|歯科の記事

根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)、抜かなくてはいけませんか?

2019年1月24日

 

奥歯で歯の根が2本以上ある歯の根と根の間におこった病変を根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)といいます.

根分岐部病変が進行すると抜歯を選択する歯科医が多くなります.

私は根分岐部病変がどんなに進行しても抜かないための努力をするのが歯科医の務めだと考えています.

 

根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)とは

上下顎の大臼歯や上顎の小臼歯には歯根が2本以上ありますが、日常臨床で問題になるのは大臼歯の根分岐部病変です.

根分岐部病変の原因にはいろいろ考えられますが、歯周病と同様のメカニズムで分岐部が破壊されたものはプラーク由来(歯周病)の根分岐部病変とよびます.

プラーク由来の根分岐部病変
下の大臼歯の根と根の間が黒くみえます.この部分の歯槽骨が溶けてしまっているので、このようなレントゲン像になります. ほぼ健康な歯周組織をもつ人のX線写真です.大臼歯の根と根の間は白い不透過像で、歯槽骨が歯根をしっかり支えています.
左上のX線写真の口腔内写真です.歯肉は赤く腫れあがっていて、この分岐部病変はプラーク由来の根分岐部病変だと考えられます. ブラッシングを熱心におこなった結果、歯肉の炎症は治まり、根分岐部にトンネルが形成されました.

 

根分岐部病変の進行度

根分岐部病変の診断はプロービングとデンタルX線写真を用います.

分岐部病変の重症度は分岐部にプローブ挿入して、どこまでプローブが入るかで1度から3度に分類されます.(Hamp 1975)

1度 : 歯冠幅の1/3以内
2度 : 歯冠幅の1/3以上で貫通しない
3度 : 完全に貫通する

分岐部病変が3度の場合、トンネル形成や根分割などの治療法が考えられますが、抜歯を選択する歯科医も多くなります.

私たちは3度の根分岐部病変でも抜くべきではないと考えています.

 

歯髄病変(しずいびょうへん)とプラーク由来の分岐部病変との区別

根管の汚染が原因で歯周病の根分岐部病変と同様な病変がみられることがあります.

歯髄病変との鑑別診断は、歯の神経が生きていればプラーク由来の根分岐部病変の可能性が高く、神経がない歯であればその分岐部病変は根管由来である可能性があると考えます.

歯髄病変の場合、根管治療を歯周病治療より先におこないます.

根管治療によって分岐部の炎症が消退すれば、プラーク由来の根分岐部病変ではなかったということが分かります.

 

歯髄病変による根分岐部病変
右下第一大臼歯のほほ側の歯肉に膿瘍を形成しています.(黄色矢印)
X線写真で根分岐部病変を認めますが、根尖病変や歯根破折は確認できません.
根管治療をして1か月少しで膿瘍は消失しました.(黄色矢印)
歯髄病変が根分岐部病変と関連していたと考えられます.

 

咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)との鑑別

咬合の負担過重(歯ぎしりやかみしめによって歯に加わる力)も歯根と歯根の間に組織炎症をおこしたり、組織を破壊したりします.

過剰な力がかかっている歯は動揺している可能性が高く、X線的に陰影を認めてもプロービングで根分岐部を確認することができません.

このような歯は歯周病の治療に先行して咬合性外傷の治療を優先します.

 

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