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ブラックトライアングルの改善(歯間乳頭の回復)

2018年7月25日

 

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歯石をとってもらったのですが、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭・しかんにゅうとう)がなくなってしまい、気持ちまで落込んでいます。
ブラックトライアングルを回復する方法はありますか?

 

歯石除去やSRP(スケーリングとルートプレーニング)をした後、歯と歯の間に空隙ができてしまうことがあります。
この三角形の空隙をブラックトライアングルと言います。
ブラックトライアングルができてしまうと見た目も悪いし、スースーする感じで、とてもがっかりしてしまいます。
何とか回復したいと思うのですが、残念ながら、ブラックトライアングルはこうすれば改善できるという定番の方法はありません。
回復する場合もあるけれど、回復できないときもあるわけです。
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歯間乳頭とブラックトライアングル

歯と歯の間にある三角形の歯肉を歯間乳頭といいます。

歯石を取ったときをはじめとして、歯周外科手術を受けたとき、矯正治療を受けたときなどに、今まで埋まっていた歯間乳頭部に空隙ができてしまうときがあります。

この三角形の空隙をブラックトライアングルとよびます。

ブラックトライアングルが歯間部にできてしまうと、その隙間がますます大きくなってしまうのではないか、歯周病がどんどん進んでしまうのではないか、と不安な気持ちになってしまいます。

しかし、歯と歯の間に空隙ができるのは、病理的な側面と生理的な側面があり、両方の面からこの事象を考える必要があります。

 

ブラックトライアングルの原因

ブラックトライアングルが形成される原因にはいくつかのことが考えられます。

 

スケーリング・ルートプレーニング

今回のように歯石を除去したら、ブラックトライアングルができてしまったというのはよくあるケースです。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)やフラップ手術で根面の清掃を行った後はさらに歯間空隙が拡大しやすくなります。

 

ブラッシングによる炎症の消退

歯みがきを頑張ってやっていると、歯肉炎が改善して歯と歯の間の空間が目立つようになることもあります。

これは、炎症が消退すると、滲出液の減少に伴い浮腫がとれて、歯肉の体積が減るからです。

この場合はブラックトライアングルの出現にひるまずブラッシングを続けていると、歯間乳頭は回復してきます。

 

生理的な変化

年齢とともに歯肉は生理的に後退していくものなので、加齢とともに歯間部にある程度の隙間ができてくる人はたくさんいます。

 

過去の矯正治療

過去に矯正治療の経験があると、矯正力によって歯周組織が傷つけられて(歯槽骨が吸収)しまうので、歯間乳頭部に空隙ができてしまう可能性が高くなります。

 

ブラックトライアングル・YouTube

YouTubeで、ブラックトライアングルについて解説しています。

ブラックトライアングル

 

ブラックトライアングルが出現する理由

ブラックトライアングルは両隣在歯の接触点(コンタクトエリア)と歯槽骨頂の位置によって決まってきます。

隣の歯と接触している接触点(コンタクトエリア)が高い部分にあればその空隙は大きくなりますし、接触点がすり減って面になり低い位置にあれば、空隙はそれほど目立ちません。

また、重度の歯周炎で歯槽骨頂の位置が低くなっているときは、健康な歯肉の厚さは一定なので、歯間空隙が残ってしまいます。

これは歯槽骨の吸収によって起こった障害なので、時間経過とともに徐々に生理的形態をとってくるのを待ちます。

どうしても気になるときは補綴物などで修復する場合ことも考えられますが、無理に歯間乳頭を埋めてしまうような修復物は歯周病を起こしやすく、新たな歯周組織破壊を招くことになり、時間経過とともにブラックトライアングルが出現してくる危険性があります。

 

症例

歯と歯の間の三角形の隙間をブラックトライアングルといいます(黄色矢印) オーラルフィジオセラピーをおこなうことで、歯間部には健康歯肉が再生されてきました(青矢印)

 

ブラックトライアングルの改善はブラッシングが効果的

炎症が消退すると空隙ができる

歯肉炎が改善していくと炎症性細胞浸潤による浮腫や線維性増殖が消退するので、歯間部にはどうしても隙間があいてしまいます。

これは一面健康を取り戻した姿なのです。

 

歯石除去後の歯間空隙

歯石をとったら歯間乳頭が無くなったといいますが、そこはもともと健康歯肉があったわけではなく、歯石と炎症歯肉が病的な状態で歯間部を埋めていたにすぎません。

歯石を除去した直後は、歯間乳頭部の歯肉退縮が目立つような気がしますが、歯肉を健康にしていく努力をすれば、歯ぐきはおのずと生理的形態をとるようになります。

 

丁寧なブラッシング

ブラックトライアングルの改善を希望するなら、まず丁寧なブラッシングを心がけてください。

できるだけ軟らかいブラシを手に入れて、歯間乳頭部にやさしく突っ込んで、ごくごく細かい振動(0.5~0.8mmくらいの振幅)を与えてください。

出血しないように、痛くしないように、歯磨き剤をつけないで行います。

決してゴシゴシしないように、赤ちゃんをお風呂に入れるように、歯肉をやさしくケアしてください。

 

症例

 23歳の大学生.男性です.
線維性歯肉の炎症です.
喫煙をする方の歯肉はこのように硬い感じの歯肉になることが多いようです.
歯と歯の間の歯間乳頭と呼ばれる部分の歯肉が無くなっていましたが、オーラルフィジオセラピー(片山式ブラッシング)でよみがえりました.(黄色矢印)

 

SRPや歯周外科はブラックトライアングルが出現しやすい

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)は歯肉も削り取ってしまい、その結果ブラックトライアングルが出現してしまうことも多いので、十分注意してやってもらいましょう。

歯周外科(フラップ手術)では軟組織を大きくこそぎってしまうので、手術後には大きな歯間空隙が出現してしまうのが一般的です。

SRPや外科手術で失われた歯肉を回復するのはとても大変です。

あわてて歯科的な介入をするのではなく、適切なブラッシングをして、歯石をとるべき時期に除去することで、自然治癒力を促すのがブラックトライアングル改善のコツだと思います。

 

歯間乳頭形成術

外科手術によってブラックトライアングルの解消を試みる方法もありますが、一時的な効果が得られても短期間のうちにせっかく作った歯間乳頭が退縮してしまうことが多いようです。

手術によって歯間乳頭部を回復するといっても、歯と歯肉の付着の回復ができるわけではありません。

炎症性に歯肉が歯間部をおおっているだけなので、炎症が消退すればまた歯間空隙が露出してくるのが当然だと思うのですが・・・・

歯間乳頭形成術に関して、長期的に良好な経過をたどっているという報告をあまり聞いたことがないので、私は外科手術をお勧めしません。

 

関連図書

【歯周病の新常識】 歯肉の形をみる P21、P22、片山式ブラッシングで健康にP129

【歯科治療の新常識】 歯間乳頭の再生 P136、P137


歯周病の新常識
小西昭彦
阿部出版
歯科治療の新常識
小西昭彦
阿部出版

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