こに思考|他方面から学ぶ

患者の考えを考慮した歯周治療

2018年2月11日

 

歯周治療の思い込み

歯を磨かなくてもむし歯や歯周病が進行しない人がいる一方で、ブラッシングを一生懸命にやり、3ヶ月に1度歯科医院に通っているのに組織破壊性の歯周病がどんどん進んでしまう人がいます。

これは「歯周病菌を取り除けば歯周病を治すことができる」という歯科医師の思い込みに問題があります。

 

歯肉炎の治療は『原因⇒結果』が明瞭

『歯と歯肉の境目に細菌が沈着すると歯肉が腫れる』歯肉炎は、『子供でも大人でも』、『ギリシャ人でもインド人でも日本人でも』、「だれでも、いつでも、どこでも」、同じように起こります。

歯肉炎に関しては、『細菌の沈着⇒歯肉炎の発症』という原因と結果が直線的に結びつき、そこに科学的な「普遍性」が認められるわけです。

細菌が原因であるという原理原則は歯肉の血管拡張、透過性の増加というミクロの世界、言い換えれば“絶対空間”に近い場所、で起こっていることなので、普遍性が成り立ちやすいと言えます。

 

歯周炎は原因が分かっていない

しかし、同じように細菌が沈着しても、必ずしも組織破壊を伴う歯周炎が発症するわけではありませんし、歯周炎を引き起こす歯周病原菌が見つかっているわけではありません。

歯周炎の発症に関しては原因と結果が明確に結びつかないのです。

これは、歯周病学者を長年悩ませてきた問題で現在でも解決されていない難問なのです。

 

歯周炎の治療は『科学の知』だけではなく『臨床の知』が必要

 

私が歯周治療を教わった片山恒夫という開業歯科医は、歯周炎の原因は生活のあり方そのもの中にある、として自然良能賦活療法を提唱しました。

私は、その考え方を安保免疫論をもとに発展させ、歯周組織破壊をともなう歯周炎は、ストレスが深く関わっていると考えています。

ストレスはその人の生活のあり方や全身の状態、心の問題などが大きく関わっています。

この生活のあり方や全身の状態というのはミクロの世界の問題と異なり、個々人によってみな違うので歯肉炎治療のような“普遍性”はなじみません。

つまり、組織破壊をともなう重度の歯周病は、歯肉や歯周ポケットという局所だけに目を向けているだけでは、なかなか改善できないということになります。

科学的な知だけではなく、個々の生活や考え方などを考慮した臨床の知が必要になるわけです。

 

歯科医の診断だけの歯周治療は詰めが甘い

歯周病を歯周ポケットの深さやX線写真だけで、抜歯や歯周外科、再生療法を決定するのはあまりお勧めできません。

なぜなら、その決定は検査の数値や歯科医の診断だけに基づいたもので、その人の希望や考え方がその決定に含まれていないからです。

命に関わる疾患であれば、診査結果に基づいた医師の診断だけで処置方針を決定することもあるでしょうが、慢性疾患の治療においてはあまり適切な方法とは言えません。

歯周病も慢性疾患の一つなので、歯科医の診断だけでなく、その人の希望や考え方を考慮して処置方針を決定しないと、期待するような結果を得ることはできません。

 

 

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