こに視点|現代日本の歯科事情

膿瘍が治せないので抜歯??

2016年5月3日

 

症状を治せないので抜歯という情けなさ

>患者さんの話も聞かずに、コンピューター画面の検査値だけをみて、診断を下すお医者さんの話を聞きますが、同様の、いやさらに程度の低い歯医者さんがたくさんいるようです.

歯周ポケットが深いから、あるいはX線透過像が大きくなっているからと、その他の診査もろくにせず、抜歯を決めてしまう歯科医がいるのです.

さらに、信じられないことですが、歯医者が腫れや排膿、歯の動揺などの症状に適切に対応できず、処置に窮して抜歯してしまっている場合もあるようです.

抜かなくてもよい歯を抜くと言っているのは、インプラントや高額補綴物を入れたいがための歯医者がほとんどだと考えていましたが、治療法が分からなくて抜歯と言っている歯科医がとても多いようなのです.

 

膿瘍を治療せずに抜歯という歯科医がたくさんいる

歯周膿瘍

たとえば、膿瘍といっておできのようなものが歯肉にできて、それがなかなか消失しない場合があります.

膿瘍の原因には辺縁性歯周炎(歯周病)、根尖性周囲炎(根尖病変)、破折(歯が割れてしまうこと)、歯の内部吸収、外部吸収などがあります.

膿瘍ができた場合、それらの原因を究明して処置方針を決定するべきなのですが、ろくな鑑別診断もせずに「抜きましょう」という歯科医がたくさんいるのです.

膿瘍にはそれなりの治療法があります.少なくとも今十分に使える歯をあわてて抜いてしまうのは治療とはいえません.

しかし、膿瘍の治療法の分からない歯医者には抜歯という手段しか手持ちのフダがなくなっているわけです.

学会や講習会でとりあげられる話題はインプラントや歯周外科などの派手なお金に結びつくような技術ばかりで、膿瘍の処置のような基本的な治療については誰も興味を示しません.

大学教育が補綴科やインプラント科など縦割りの教育になっていることもそのような傾向に拍車をかけているのかもしれません.

腫れや痛み、排膿や動揺の治療法がわからないからといって、抜歯に逃げ込むのではあまりにも寂しすぎます.

歯を抜かないことをまず第一に考えて治療しましょう.

そのためには何をしなければならないのか、勉強してください.

高いお金を払ってインプラントの講習会に行くだけが勉強ではありません.

 

膿瘍で抜歯と言われた症例

4軒の開業歯科医と1軒の大学病院で診てもらって、すべての歯科医に抜歯と宣言されました.
20代の女性です.

いくらブリッジやインプラントを入れるから大丈夫と言われても、若い女性のしかも前歯を抜いてしまうというのは酷なことです.

抜かないことを約束して治療をはじめて、2か月ほどで膿瘍は消失しました.

初診から9年ほど経過しましたが、膿瘍が再発することはありません.

 

 

 

 

 

 

 

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