こに視点|現代日本の歯科事情

歯周病は怖いと大げさに言うわけ

2017年11月26日


マスコミやインターネットで歯周病と全身疾患との関連を取り扱うペリオドンタルメディスンの話題が取り上げられています.
「歯周病はあなたの全身をむしばむ」あるいは「歯周病菌があなたの命を狙っている」などというセンセーショナルな語句がネット上に飛び交っています.
しかし、その内容は事実と異なる部分が多く、多分に一般の人々を脅かす要素が強くなっているようです.
歯科医によってはこのことを理由に患者さんの不安をあおりたて、抜歯を勧めている場合もあるようなので、これは放っておけないと思いこの一文を書いています.

 

ペリオドンタルメディスンが話題になるのは隠された理由がある

ペリオドンタルメディスンがさかんに研究される以前から、心内膜炎と口腔内細菌の関係や糖尿病の人が歯周病になりやすいことはよく知られていた事実です.

しかし、最近になって歯科医院のホームページではペリオドンタルメディスンをことさら問題にしているような印象を受けます.

これには、ペリオドンタルメディスンの研究が進んできたこと以外に理由があるのではないかと思っています.

それは歯科治療に対する需要の喚起です.

 

歯科医院は患者数減にあえいでいる

現在、日本の歯科開業医は患者数の減少にあえいでいます.

増患対策と銘打ったセミナーや患者を獲得するホームページのご案内といったメールやファックスが毎日のように歯科医院に届いています.

私の知り合いにも患者さんが来なくなってしまって、閉院を余儀なくされた歯科医が何人もいます.

これから先、開業歯科医が生き残っていくためには患者数を確保するのが急務な時代となっているのです.

 

不安にさせて患者さんを呼び込もうとしている

むし歯や歯周病のなど、以前歯科的介入の主流だった疾患は最近激減しています.

小学校でクラスにむし歯がある子は数人程度です.ほとんどの子が治療痕さえありません.

歯周病も減っています.

以前は手がつけられないような歯周病に罹患した人がたくさんいたものですが、それもだいぶん少なくなっています.

歯科疾患が減少すれば、当然患者さんが歯科医院に行く機会は減ってきます.

歯科医院側は患者さんに来院してもらうためのキャンペーンを繰り広げる必要がでてきます.

そこで、「歯周病と全身疾患の関係」と「健全歯周組織を持たない人が8割いる」という厚生省の歯科実態調査を曲解して、患者さんを脅かすキャンペーンが繰り広げられるようになったわけです.

実際には全身疾患とは無縁の人まで歯周病の患者として取り込もうというのがペリオドンタルメディスンを問題にする理由ではないかと考えています.

 

必要以上に怖がる必要はありません

種々のリサーチや研究の結果、ペリオドンタルメディシンが発展してきたことは間違いありません.

その研究には敬意を払いたいと思います.

歯周病と全身疾患に関係に関してもこれから詳細なことが分かってくるでしょう.

だからといってマスコミや一部の歯科関係者のことばをうのみして、歯周病を必要以上に怖がる必要はありません.

「歯周病を放置すると命に関わるようになる」、「抜かないと脳にまわって大変なことになる」などという脅かしにはそれほど信頼できるような根拠はありません.

まったくの嘘とは言いませんが、ほとんどの人には関係ないことです.

あまり心配なさらぬようにお願いします.

 

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