こに視点|現代日本の歯科事情

病む日本の歯科医療

2017年9月12日

 


来院した患者さんの話を聞いていると、同じ歯科医の免許をもっていても、その知識や技術、倫理観には雲泥の差があるということをつくづく感じます.

歯科医選び、特に補綴処置に関する歯科医の選択は慎重にお願いします.

補綴治療は一回削ったり、抜いたりしてしまうと、もう元には戻せませんので.

歯科医療をとりまく環境の変化

歯科の今昔

40年も前の話になりますが、私が大学を卒業したころは歯科医不足、小児のむし歯の洪水が歯科界の大きな問題でした.

朝早くから歯科医院の前に順番待ちの長い列ができ、大学病院の小児歯科外来では、やっと順番がきたと思ったら、治療が必要だった乳歯は永久歯に生えかわってしまっていた、という笑えないエピソードも残されています.

それから月日は流れ去り、新設の歯科大学や歯学部が次々と誕生し、巷には歯科医院があふれかえるようになりました.

 

むし歯の減少

歯科疾患の疾病構造も大きく様変わりしました.

小児のむし歯は激減し、沈黙の病(silent disease)と恐れられていた歯槽膿漏(重度歯周炎)も減少の一途をたどっています.

 

技術の進歩とモラルの低下

高分子材料をはじめとした歯科材料も技術も格段に進歩して、歯科を取り巻く環境はすっかり変わってしまいました.

以前から指摘されている歯科医の勉強不足やモラル低下もはなはだしくなり、その混乱に輪をかけています.

若い歯科医たちは近代の進歩した材料学や技術は大学で勉強してきているのですが、その進歩した材料や技術を患者さんのために使うにはどのようにすればよいかということを教わらずに社会にでてきてしまっています.

したがって、たとえ優れた器具や技術があっても、それを患者さんのために有効に使う能力が欠落していまるのです.

 

口の健康より経営優先の歯科治療

経営優先の歯科治療

現代日本の歯科医療の問題としてはインプラントの蔓延や歯の削りすぎ、安易な抜歯などがあげられます.

これらの問題治療の裏には、前述のように”歯科医師数の過剰、むし歯の減少”といった歯科医療をとりまく環境の問題が深く関わっています.

はっきり言ってしまえば、現代日本の歯科医は患者さんの口の健康より、歯科医院の経営に目を向けざるをえない状況に追い込まれているということです.

 

自費診療とトラブルの増加

自分の歯科医院の経営を安定させるために、開業歯科医はインプラント、矯正、審美歯科などの自費診療に診療の軸足を移しはじめています.

少ない患者さんで経営を成り立たせるためには、保険診療だけではやっていけないからです.

自費診療を成功させるためには、それなりに知識や技術が必要です.

しかし、知識も技術も経験も不足したまま自費治療に着手する歯科医が大量に出現しています.

そして、その人たちが問題を引き起こしているわけです.

お金がからんだ問題では、歯科医院という密室のなかでは、患者さんが何も分からないことをいいことに、空恐ろしいことが行われているとを感じます.

 歯科の自費治療とその害

自費診療のキャッチフレーズには裏がある

高額な自費治療の後始末は大変です

 差し歯が1本とれて70万円!?

 

患者さんをおどかす歯科医

自費治療に誘導するために歯周病でも歯列不正でもその症状を大げさに言いたてる歯科医が急増しています.

「歯周病を放置すると大変なことになる」、「歯周病が全身に影響を及ぼす」などと言って患者さんを脅かしているのです.

これらの文言は患者さんが歯科医院に来院してもらうための文言なのですが、患者さんに過剰な恐怖心を植え付けてしまっています.

不安をあおる歯科医療

 

不勉強な歯科医たち

歯科医療では一本一本の歯だけでなく、上下の歯の噛み合わせ(咬合-こうごう)がとても大切です.

しかし、咬合を理解していない補綴治療や、自分勝手な咬合論をもとにした過剰介入による悲劇があとを絶ちません.

歯科医の勉強不足により、間違った薬剤投与が行われて、全身に危害を与えていることもあります.

また、腫れや痛みが治せないので、歯を抜いて治したとしてしまう歯科医もたくさんいます.

咬合(こうごう)を理解していない歯科医

授乳中の抗菌剤や鎮痛剤の服用は避けてください

膿瘍が治せないので抜歯??

-こに視点|現代日本の歯科事情

© 2020 小日誌《こにっし》 Powered by AFFINGER5